かみね公園の桜ロゴ

かみね公園の桜

場所 

【最新情報】

 

【解説】(花樹の会 山川敏夫資料より)

 平和通りと並ぶ日立の桜の名所である。その規模は市内最大であり、平和通りとともに「日本のさくら名所100選」の地に認定されている。かみね公園の桜(約1000本)は、ほとんどソメイヨシノだが、特筆される桜を紹介する。
 まず里桜の一種で黄緑色の花を咲かせる「ギョイコウ(御衣黄)」である。御衣とは天皇などの高貴な方がお召しになる衣服のことだが、その色は一般的に黄色であるために、古来から高貴な色とされて庶民が使うことを禁止されていた。花は黄緑色であるが、その高貴さから「御衣」を連想させるということで命名されたらしい。この「御衣黄」は、頂上駐車場北端付近に1本だけ存在するが、開花時期でないと区別できない。このほかに「ウコン(鬱金)」が数本ある。どちらも里桜の一種で八重咲きであり、」咲く時期は4月下句である。
 また、かみね公園には「標準桜」と呼ばれる桜がある。毎年3月ころになると、気象庁によって「桜前線」という桜の開花予想が発表されることは周知のとおりだが、「標準桜」はその判断材料となる桜のことである。日立の桜の開花宣言は、この「標準桜」を基にして日立市の天気相談所が行っている。南側駐車場の北斜面に立つ4本の大きな桜と、頂上へ向かう道路が右に急カーブを描いたその内側に立つ1本、合計五本の染井吉野がそれである。これら5本を平均して、開花を宣言している。
 現在では、日立市民はもとより、周辺の人々にもなじみが深いかみね公園の桜だが、山頂近くの南斜面では老化や枯死が目立つようになっている。公園の山はもともと岩盤質の丘陵地であって、植物にとっては養分や水分を得にくく、根付くのが困難な土地である。これに加えて春の花見の時期ばかりでなく、1年中、桜の根元を人々が歩くために、地面か踏み固められて、桜の根が呼吸できない状況にある。桜は地面近くに根を張り、その根で生きている。言わば「根」こそ命である。そういう現状を考えれば、先人たちの献身的な活動によって育まれたかみね公園の桜を、後世に末永く残していくためには、桜を愛で楽しみながら、同時に桜を育て慈しむことこそ、大切なことであろう。今後の市民運動などの盛り上がりに期待したい。

【さくらの品種】 主に ソメイヨシノ オオシマザクラ

 


  

写真左から 標準木 山頂駐車場 吉田音楽記念館