日立工業専修学校の桜は、鮎川沿いの県道から坂道を登ってきて、つきあたった学校の正門付近が最も美しい。道路の両側から染井吉野の大木が大きく枝を広げて、文字通り桜のトンネルの中を通過するような雰囲気である。
そして、学校の中でも最大の桜の名所は、なんといっても南側のグラウンド沿いに立つ15本の染井吉野の巨樹であろう。ここは鮎川の谷を臨む南斜面の頂部であり、桜ならずとも、自然の条件に恵まれた場所である。このグラウンドを取り囲むように、また鮎川を越えて油縄子や諏訪の方面を見晴らすように、整然と並ぶ桜は、本当に良い生育環境におかれている。
さて、この専修学校の桜には、道路際のものを除いて、学校敷地内の桜にはすべて番号札が付けられている。これは、同校の卒業生が記念に植えたものに取り付けたもので、学校にはそれらに関する台帳があり、一本一本の木が登録されて管理されているとのことである。